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2017.10.13 Fri3Dプリンターで作られたFRISKカバー。
クリスタルのような仕上げの美しさには秘密がありました

こちらをご覧いただきたい。

実はこれ、3Dプリンターで制作したFRISKオリジナルカバー製作中の写真である。アクリル製樹脂による透明パーツと、その中に封じ込められた黒のFRISKロゴは一体成型。カバーの厚さは約30mmになる予定。もはやポケットに入るかどうかも怪しいサイズ感だが、インパクトという面においてはメジャー級である。完成品を一刻も早く見たいところではあるが、その前に……。

3Dプリンターで作られたFRISKカバー。クリスタルのような仕上げの美しさには秘密がありました

実は現在、FRISKでは「オリジナルFRISKカバープレゼントキャンペーン」を展開しており、当選者は好きなデザインのFRISKカバーをオーダーすることができる。作品はDMM.makeの3Dプリンターによって“出力”される。冒頭のプロダクトは、キャンペーンに先立ち、プロトタイプモデルとしてDMM.makeの協力のもとで制作されたものなのだ。

あなただけのFRISKカバー プレゼント

では、3DプリンターによるこのFRISKカバー、いかなる工程で製作されたのだろうか?
制作してもらった機械が稼働しているのは、石川県・小松空港からクルマで30分ほどのDMM.comの巨大な物流倉庫の一角にある、DMM.makeの3Dプリント工場だ。ここでは主に、DMM.makeがWeb経由で受注した全国からの3D出力を請け負い、発送までを行っているという。

今回はFRISK JOURNALがこちらの工場にお邪魔し、普段なかなか目にすることがない「3Dプリンターな世界」を、このプロトタイプの製作過程を追いつつレポートしていこう。

3Dプリンター作品はこうして作られる!

1. 緻密な3Dデータの作成ありき

3Dプリンター作品の第一歩は、プロトタイプのデザインと、それを元に起こされる3Dデータの製作から始まる。こちらは東京のDMM.make AKIBAでの作業となる。

DMM.make AKIBAでは通常、ウェブから3Dデータをアップロードして直接発注することもできるし、イラストや写真をもとに3Dデータの作成を依頼することもできる。今回はゼロベースからの相談に乗ってもらい、デザインそのものからDMM.make AKIBAにオーダー。

今回のプロトタイプでは、FRISKをテーマに3Dプリンターでどんなカバーデザインが考えられるか、綿密な打ち合わせが重ねられた。ポイントは2つだ。

  • FRISKのロゴをモチーフにする。
  • 3Dプリンターだからこそ実現できる仕掛けを盛り込む。

そして完成したプロトタイプの3Dデータがこちら。クリアな樹脂素材の中にロゴが封じ込まれているのがわかる。ロゴは上部からだけでなく、側面から見たときもくっきりと見えるようにデザインされている。

2. 最適な素材と3Dプリンターを決める

最適な素材と3Dプリンターを決める

今回のプロトタイプを作成するのは、アクリル樹脂素材を「マテリアルジェッティング」という手法で出力するstratasys社のOBJET500。今回OBJET500でプリントすることになったのは、クリアパーツ中心のデザインでシンプルなフォルムだから。OBJET500はクリアアクリルパーツに強い機種なのである。

「マテリアルジェッティング」とは、いわばインクジェットプリンターと同じ方式だ。プリンター本体の右にあるユニットに、インクならぬアクリル樹脂のカートリッジをセット。非常に微細な樹脂の粒子をトレーに吹き付けて層を作り、さらにその上に層を積み重ねて形を作っていく。

こちらは3D SYSTEMSの3500HDこちらは3D SYSTEMSの3500HD

ちなみに樹脂素材で造形するプリンターは、ほかに3D SYSTEMSの3500HDという機種がある。高精細の出力に強く、表面の仕上がりが美しいのだが、クリア素材が半透明になる性質があるということで今回は出番ナシ。DMM.makeでは、現在26種類の素材に対応しているという。たとえば航空宇宙業界から高精細のパーツを少量作りたいという注文や、医療分野でオーダーメイドに対応する場合はセラミックや金属を使用。安価で丈夫なものはナイロン樹脂。フルカラーでのプリントならば石膏を選ぶことが多いそうだ。

同じ樹脂のプリンターでも、機種によって素材感は微妙に違うし、それぞれに特徴があるため、出力するモノの仕上がりのイメージやデザインを踏まえて最適なものを選ぶのである。

3. あとはスタートボタンをクリックするだけ!

あとはスタートボタンをクリックするだけ!

作業の過程は終始モニタリングされている。
緑は、作業進度を示すバー。バーの下の数字が「層」の数字を示している。「層」とはなにか?

今回の試作品は厚さ約35ミリだが、1単位あたり約0.028mmの層が、なんと1,241も重なってできている。モニターの写真によると、297層まで出力し終えたことを表している。バーの上はスタート時間と終了予定時間と残り時間。出力し終えるまでにトータルで2時間25分。早い!

あとはスタートボタンをクリックするだけ!

こちらは使用している素材の残量。今回は、左から2つ目のクリア樹脂と、右端の黒の硬質樹脂を使用。今回は使用しないが、仕上がりにゴムのような柔らかさを与えるために混ぜ込む素材もある。

また、樹脂のプリントアウトに欠かせないのが「サポート材」。3Dプリンター特有の考え方で、出力したモデルが変形しないように保持する素材のことだ。たとえばアルファベットの「T」のような形状のモデルを出力する場合、「T」の横棒が変形する恐れがある。それを防止するため横棒の下を支える素材を同時に造形していくのである。

4. プリント完了。「後処理」に入る

担当エンジニアがスタートボタンをクリックしてから約2時間25分後。
プリンターのカバーが開き……フリスクカバーがその姿を現した!

縦:39.5mm、横:73mm、高さ:33.1mm。
ほぼFRISKと同寸で、厚みにしっかりとした存在感を持ち、まるでモノリスのように神々しく見える。……だが、おかしい。オーダーした透明色ではなく、黒いのである。もう完全に真っ黒。

5. 表面を覆う黒い「サポート材」を除去する

表面を覆う黒い「サポート材」を除去する

こちら、実は黒いサポート材が本体の表面を覆っているのだという。

サポート材は少し弾力のあるゴムのような質感。ヘラや歯ブラシ、スポンジやすり、バターナイフなどを使用してサポート材をこそげ落とし、水洗いを繰り返すと……。

お〜、みるみるきれいになっていく。サポート材が取り除かれると、樹脂の中に造形されたFRISKのロゴが見えてきた。

そして除去終了。

表面を覆う黒い「サポート材」を除去する

この時点で当初のデザインイメージに近いものになっているのだが、最終仕上げは東京・秋葉原のDMM.make AKIBAで行われるのだという。サイドは一層一層積み重ねてきた痕跡が残り、ガタガタした状態のため、これから仕上げの作業へと進み、さらに透明感や滑らかさを増していく。

というわけで、これにて加賀での工程は終了。
さようなら加賀! 梨が美味しかったよ!

最後の仕上げ工程こそ、
もっとも過酷だった・・・・・・

そして舞台は東京・秋葉原のDMM.make AKIBAへ。
ここはモノづくりのためのコワーキングスペースにしてシェアオフィスである。レーザーカッターや各種工作機械が置かれ、登録会員たちがなにかを作っていたり、アイデアを練っていたりといつも賑わっている。

ここで今回のオリジナルFRISKカバーは仕上げへと進む。

しかし、これがとてつもなく大変な工程だった。

6. 紙やすりで「層」をなめらかにする

とにかく磨く。3Dプリンターで出力されたモデルは、特性上「層の積み重なった跡」が出てしまう。これを丹念に削る。使用する紙やすりは8種。最初は左端の240番。これで層の跡は滑らかになるが、木工の仕上げ研ぎに使うような目の粗めのものなので、今度はやすりの傷ができてしまう。それをやや目の細かいやすりに替えて磨き直す。すると今度はその目の傷ができる。次にさらに細かいやすりに替えて磨く。

この作業を繰り返すことで、磨いた面が非常になめらかに、美しくなる。240番から始まった紙やすりは320番、400番、600番、800番、1000番、1500番と細くなり、最終的には2000番に。2000番の紙やすりの一般的な用途は「金属パーツに輝きを出す」というものだから、その磨きの執拗さが伺い知れる。紙やすりの工程に要するのは5~8時間。だがこれで最終ではない。

7. ウレタンクリアでトップコートをかける

続いて、専用の部屋に移り、エアブラシを使い、ウレタンクリアでトップコートをかけていく。クルマのボディを保護するのに使う塗料である。3Dプリンターで出力したモデルは、どうしても層と層の間に気泡が入ってしまうことがある。やすりの工程でそれが表面に露出し、微細な凹みとなる。トップコートはモデル表面を保護するだけでなく、その凹みの修復にも役立つのである。

ウレタンクリアでトップコートをかける

塗装が完了したら、専用の乾燥機に入れて、40℃で一晩寝かせる。化学反応で完全に表面が硬化するまでじっくり置くのである。このとき、表面に埃がついたり、液だれが生じたりすることもある。その際は、また先の1000〜2000番のやすりを使って磨き直す。

さぁ、そうしていよいよ総仕上げだ!

8. コンパウンドでピッカピカに

コンパウンドでピッカピカに

最終的な仕上げはクルマの傷消しなどにも使われるコンパウンド磨き。目に見えないような細かい傷も消し去ってしまう、ツルツル界のピカピカ師匠だ。

キズ消し用3000→仕上げ用7500→超鏡面用9000と、3つのステップを進めて磨いていくのだが、ここもそう簡単ではない。3000で表面を磨いた段階で、また細かいキズが目立ってくることがあるのだ。その場合は、紙やすりに戻る。2000番手とコンパウンドを行き来しながら磨いていくと、やがてキズは消える。

コンパウンドでピッカピカに

そして7500に進む。ここには明確なフィニッシュラインがあるという。磨き続けていくことで、みるみる表面の曇りが失せていく。そして、「もうこれ以上透明にはなりようがない」という地点まで到達するのだという。ついにたどり着いた9000では、透明を超えた輝きをプロダクトに与えるのだ。

20時間以上の磨き工程を経て、FRISKカバーが完成!

秋葉原に届いてから、なんと20時間以上の磨き工程。磨き抜かれたオリジナルFRISKカバーの試作品は、まるでクリスタルもかくやというべき質感へと昇華した。

30mmほどの厚みを通しても、FRISK本体の「50 MINTS」「SUGARLESS」「PEPPERMINT」「120%BOOSTER」の文字が非常にクリアに見てとれる。もはや、3Dプリンターが丹念に積み重ねた層は見えない。まるで最初からこの形で世に出てきたかのように思える美しさである。そしてこれが「ただFRISKを覆うためだけに作られている」ということの贅沢さよ!

3Dプリントは、人の日常や仕事を快適にしてくれる非常にモダンな技術だが、それに辛抱強く丹念な、まるで漆芸のような人の手が加わることで、こんなにも幸福な着地点へと到達できるのである。

text:FRISK JOURNAL
photo:有坂政晴(STUH)小山幸彦(STUH)

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